企業価値1.5兆円、仮想通貨採掘企業「ビットメイン」が上場へ

仮想通貨のマイニング分野の最大手企業が「ビットメイン(Bitmain)」だ。現代のゴールドラッシュといえる仮想通貨の採掘ブームで、同社のツールはデジタル版つるはしの役割を果たした。

ビットメインを創業したのは現在32歳のジハン・ウー(Jihan Wu)だ。北京大学で経済学と心理学を学んだウーは、ビットコイン創始者のサトシ・ナカモトのホワイトペーパーを、英語から中国語に翻訳した最初の人物だという。彼はニュースサイト「8BTC」を2011年に設立した。

その後、2013年にマイニング機器の製造を始め、パートナーのMicree Zhanとともにビットメインを設立。マイニングに特化したチップ「ASIC」を開発し、この分野の覇権を握った。

同社の財務資料によると、ビットメインの2017年の売上は25億ドル(約2760億円)。2018年第1四半期の利益は11億ドルに達している。同社のマイニング機器「Antminer」の市場シェアは85%に及ぶという。

IPOを前にビットメインは先日、10億ドルの資金を調達。企業価値は140億ドル(約1.5兆円)とされた。今回の調達はテンセントとソフトバンクが主導し、米国のヘッジファンド「Coatue Management」やシンガポールの政府系ファンド「EDBI」も参加した。既存出資元にはIDGやセコイア・キャピタルも名を連ねている。

投資家向け資料によると、ビットメインは8月末に香港証券取引所に上場申請書類を提出予定だ。同社は今後の3年で、企業価値300億ドルから400億ドルへの成長を見込んでいる。

仮想通貨コミュニティにおいてウーは、ビットコイン(BTC)からのハードフォーク分裂の結果生まれたビットコインキャッシュ(BCH)の推進派として知られた。今年3月時点でビットメインは、100万ビットコインキャッシュ(BCH)を保有。さらに、2万2000ビットコイン(BTC)に加え、Dashやイーサリアム、ライトコインも保有している。

中国の雲南省でマイニング企業を運営するWincent Hungは、ここ1年半の間、Antminerを使用している。「他社の製品を使おうとは思わない。なぜならビットメインの製品が最も優れているからだ」とHungは話す。彼は1000台のAntminerを他社のホスティング向けに運用するほか、自身の採掘にも用いている

 

ペイパル創業者とも共同出資

ピーター・ティールとも共同出資

ただし、Hungによると、マイニングから生み出せる利益は、昨年末頃と比べると大幅に減少したという。理由の一つはビットコインの価格の急落だが、マイナーの増加による競争の高まりや、中国における電気料金の値上がりも関係しているという。ビットメインは、米国のテキサス州に5億ドルを投じてマイニング施設を設置し、風力発電による安価な電力を用いようとしている。

ビットメインは同社のAntminerを買ったマイナーが参加できる、マイニングプールも運営しており、ここから生み出す利益も膨大な額となっている。同社は世界最大規模のマイニングプールであるBTC.comやAntPool、ViaBTCを傘下に持っている。

さらなる事業拡大を目指すウーは、7月にペイパル創業者のピーター・ティールとともに、香港のBlock.Oneに出資した。Block.Oneは仮想通貨「EOS」のICOで40億ドルを調達しており、EOSは現在、時価総額で第5位の仮想通貨となっている。

ビットメインが上場を果たせば、仮想通貨分野では最大規模のIPOになりそうだ。マイニング分野で第2位の競合企業「Canaan」や「Ebang」も既に香港証券取引所に上場申請を行なっている。

ただし、前述のWincent Hungはビットメインの株式を購入するつもりはないと述べる。「業界をよく知る人間として、自分は彼らが主張する企業価値に疑問を感じている。市場全体は下落基調にあり、この状況が続くとしたら投資をしても利益は得られないだろう」

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