【スペシャルインタビュー】安室奈美恵が贈るラスト・セレブレーション。

「私は自分がトップを走っているとは思っていないんです。 私自身も、常に何かを追いかけているんだと思います」

アーティストとして駆け抜けた25年。その節目に引退を決意した安室奈美恵。音楽、そしてライブへの熱い想いを語るスペシャルインタビューとともに、歌姫が放つミステリアスな魅力を、フォトグラファーデュオ、ルイージ&イアンゴがストーリーの中に記憶する。

安室奈美恵が『VOGUE JAPAN』の表紙を飾る。歌姫が放つミステリアスな魅力を、フォトグラファーデュオ、ルイージ&イアンゴが記憶。

2018年9月16日に引退することを安室奈美恵が明らかにしたのは、約1年前のこと。デビュー25周年を迎えてから間もない、40歳の誕生日当日だった。沖縄に生まれ、ガールズ・グループでの活動を経て95年にソロデビューした彼女は、小室哲哉をプロデューサーに迎えたセカンド・アルバム『SWEET19 BLUES』で大ブレイク。以後ヒットを連発し、03年のアルバム『STYLE』からはセルフ・プロデュースの形をとって活動の主導権を握り、ジャンルを広く網羅しつつ計12枚のオリジナル・アルバムを発表してきた。

そして、引退表明後に送り出したオールタイム・ベストアルバム『Finally』の売り上げは220万枚を突破し、10代、20代、30代、40代、4つの年代にミリオン・セールスを達成するという、今後も破られることがないだろう記録を打ち立てたことは、ご存じの通りだ。そんなふうに日本を代表する歌姫としてトップを走り続けた安室奈美恵は、輝かしいキャリアの最後の数カ月をツアーに費やし、今年2月から6月にかけて行った全国5都市のドームでの17公演と、アジア3都市での6公演で、国内のソロアーティストとして史上最多の80万人を動員。毎晩のフィナーレを「How do you feel now?」で飾った。「わたし」と「あなた」のストーリーを振り返るこの切なくもポジティブな曲は、ステージでは言葉少ないこの女性の心境を、雄弁に物語っていたのかもしれない。

こうしてファンに直接別れを告げた平成のディーバはこのあと、8月末にツアーの模様を収めたDVD & Blu-ray『namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~』を発表し、全国4カ所でそれぞれ内容の異なる展覧会『namie amuro Final Space』を開催した。以下のインタビューでは、引退には直接触れなかったが、25年を俯瞰して率直な想いを語ってくれた彼女。言葉は控えめながら、静かな自信と充足感をうかがわせていた。

「楽しむことだけは、(アーティストとして)本当に忘れなかったと思います。特にコンサートに関しては」

(中略)

ーーー思えば、これまでずっと日本のポップ・ミュージック界のトップを独走していたようなところがありますが、独りで走り続けるのは孤独なものなんでしょうか?

安室奈美恵(以下、NA)というか、私は自分がトップを走っているとは思っていないんです。私自身も、常に何かを追いかけているんだと思いますよ。

ーーーより高い場所にいる自分を追いかけている?

NA はい。それを見ていたいし、実際に見ているし。ただ、孤独であることには変わらないのかな。トップであってもトップでなくても、やっぱり独りで考えて、独りで悩まなければならないことが、絶対にありますから。そういうときは、やっぱり辛いですね。気分を明るくもしてくれるし、落ち着けてもくれるのは、音楽だけなのかなって思います。

ーーーそれでも、音楽を愛する気持ちはずっと変わらなかった?

NA そうですね。気分を明るくもしてくれるし、落ち着けてもくれるのは、ほんと、音楽だけなのかなって思います。音楽はどんな人にも刺さるものだから。

ーーーと同時に、歌うという行為から得られる喜びもありますよね。

NA 歌っていると歌詞に励まされることがあるので、自分で歌って自分が励まされることはあります。「私も頑張ろう!」みたいな(笑)。

ーーー究極的に、アーティストとしての自分の使命とは何だと捉えていますか?

NA 自分で選んだ楽曲を具現化し、それをまた、ステージでも具現化すること。もちろん、プロフェッショナルな方たちの技術も全部集めて、私が代表して発表するみたいな感じなので、みなさんの技術、みなさんが持っている能力を、私がうまくステージで表現できて、それを受け入れていただくことができたら、自分の責任を果たせているのではないかなと思います。

ーーーとなると、途方もなく大きなプレッシャーでしょうね。

NA はい。せっかくやりたいことをここまで形にしたのに、結果的に、それを良くするのも悪くするのも、その日の自分だったりするので、大きなプレッシャーを感じます。

ーーーそんな自分が、誰かを歌で幸せにしているという実感はありますか?

NA 実感はないですね。あまりそういう感じに想像したりはしないんです。みんなが笑顔を浮かべていてくれたらいいな─くらいに思っていて。意識しちゃうと、「いや、そこじゃないんだよな」と言われそうなので、その辺は特に情報を入れずに、自分が「これかな」と思ったことをやる。それが求められていることでなければ、多分コンサートのときのファンの方の反応に、表れると思うんですよ。そして、「あ、ちょっと違ったかな。この曲は好きじゃないのかも」と感じたら、次のアルバムではそういう曲はやらないので。

(中略)

ーーー25年間、「これだけはアーティストとして譲らなかった」と自負していることは?

NA なんでしょう……楽しむことだけは、本当に忘れなかったと思います。特にコンサートに関しては。

ーーー逆に、若い頃はすごくこだわっていたのに、年齢を重ねるにつれてこだわらなくなったことは?

NA たくさんあります!(笑)くだらないことが、多過ぎるくらいに。

ーーー例えば?

NA 若いときはなぜか、「自分はアイドルじゃない」という意識が強かったんですよ。10代でデビューしたから、やっぱりアイドルだという感じだったんですが、私は「いや、違うんだけど」と思っていて。だからあまり笑顔を見せなかったり、「笑ってください!」と頼まれても「笑えません」と言ったり(笑)。すごく強気でしたね。「ピンクの服は着ません」とか、よく分からないこだわりがありました。

ーーーそれが変わったのはいつ頃?

NA う~ん、20代後半だったかな? 楽曲を選んだり、自分で全部やらなければならなくなったときに、多分いろいろと考えたんだと思います。「可愛い」と言われる時期って、ほんの一瞬しかないですからね(笑)。やっぱり年を重ねると、そんなふうに思ったりするんですよ。「ピンクを着られるのは若いうちだけだな」とか。ちょっと大人になったことも関係していたのかな(笑)。

ーーーこのあとさらに何十年も経ったとき、どんなおばあちゃんになっているんでしょうね。「昔はこんなことをしていたのよ」と、孫に語って聞かせると思いますか?

NA それは、しないんじゃないかな。きっと普通のおばあちゃんになっているんだと思いますよ(笑)。

※インタビューの全文は『VOGUE JAPAN』10月号に掲載。

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