<復刻ゲーム機>ファミコン、スーファミに、メガドラ&PS続く 発売の狙いは

 国内最大のゲーム展示会「東京ゲームショウ2018」(主催・コンピュータエンターテインメント協会)が20日、千葉市美浜区の幕張メッセで開催され、19日に発表されたばかりのソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)」の復刻版「プレイステーション クラシック」が披露された。セガゲームスのゲーム機「メガドライブ」の復刻版「メガドライブミニ(仮)」は発売延期が発表され、ゲームショウには間に合わなかったものの、どちらも話題となっている。ゲーム業界の新たな動きともいえる復刻ゲーム機の狙いを追った。

 ◇“三強”が復刻ゲーム機にそろう

 復刻ゲーム機の人気に火を付けたのは、2016年11月に発売された「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ(ミニファミコン)」(任天堂)だ。ゲーム機を手のひらサイズにした“可愛さ”もあって一時期は品不足となるほどで、プレミア価格で取り引きされる異常事態になった。17年10月には「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン(ミニスーファミ)」も発売され、こちらも人気となった。

 「ミニファミコン」の需要を見て、かつてゲーム機を出していたソフトメーカーも追随する形となった。今年の4月には、セガゲームスが「メガドライブミニ(仮)」を年内に発売すると発表した(19年に発売延期)。続いてSNKも「NEOGEO」の復刻版「NEOGEO mini(ネオジオ ミニ)」をネット限定で売り出すと即日完売。そして今月に「プレイステーション クラシック」(12月3日発売)が発表された。任天堂とセガ、ソニーという、1990年代にゲーム機のシェア争いを繰り広げた“三強”が、復刻ゲーム機にそろった格好だ。

 ◇復刻ゲーム機にあった需要

 復刻ゲーム機は、現在のユーザーの希望に応えて着実に“進化”している。「ミニファミコン」に収録されたタイトルには、実は発売中のゲーム機でも遊べるものも多かったのだが、懐かしいファミコンをデザインした端末が、多くの人の心をつかんだ。

 だが「ミニファミコン」は、コントローラーも小さく、長時間遊ぶには不向きで、コレクターズアイテム的な要素が強かった。そして発売されると「コントローラーが小さい」という声が続出した。メーカー側の予想とは違い、コレクションとして買い求めるヘビーユーザーだけでなく、単純に昔のゲームが遊びたいという、より幅広い層の心をつかんだことが分かる。そして次に発売した「ミニスーファミ」は、ゲーム機こそ「ミニ」だがコントローラーの大きさはほぼ当時のままにした。

 「プレイステーション クラシック」もその点は同じで、コントローラーの大きさは初代PSとほぼ同じサイズだ。発売延期が決まった「メガドライブミニ(仮)」は海外で人気のあったゲーム機だけに、北米は「GENESIS(ジェネシス)」、欧州は欧州版「メガドライブ」を出すなど地域の需要に対応し、ユーザーの要望もくみ取るという。

 ◇近年あるリメーク版の流れの一つ

 復刻ゲーム機は、近年に次々と発売されているリメーク版の流れの一つにあるといえる。PS4などのハイエンドなゲーム機が発売された初期は、ソフトメーカーが高性能な機能を持て余し、ソフトのラインアップをそろえるために、売れ行きの不透明な新作ゲームではなくリメーク版が重宝された。ゲームメーカーは開発費が抑えられ、数字の売り上げが見込め、コンテンツもリフレッシュされる利点がある。ユーザーからも“クソゲー”をつかまされる可能性が低く、安心して遊べることから一定の支持を受けているといえるだろう。現在のメーカーの戦略のトレンドは、シリーズもの、リメーク版を出して数字を稼ぎながら、一方でしっかり新作のゲームにも挑むバランス重視となっている。

 復刻ゲーム機の発売について、関係者から聞こえてくる声は「売り上げよりもファンサービス」ということだ。復刻ゲーム機はソフトも一体化されている商品の特性上、追加でソフトを買う可能性はない。もちろん、懐かしさに引かれて復刻ゲーム機を買ったユーザーが、触発されて現行のハイエンドゲーム機を買う可能性もあるが、ハードを買った後でソフトを次々に買っていく通常のゲーム機のように、ユーザーの動向がビジネスに直結しないようにみえる。それでも「少しでもゲームに触れてもらうきっかけになれば」というのは業界の共通の願いだ。そういう意味では、基本プレー無料でまずはユーザーを集めるスマホゲームのコンセプトに似たところもある。

 ◇プレイステーション クラシックの売れ行きは…

 気になるのは、「プレイステーション クラシック」や「メガドライブミニ」が、どこまで売れるかだ。これは収録するソフトのラインアップを見ないと判断ができないが、「ミニファミコン」のような売れ行きになるとは考えづらい。「ミニファミコン」は、もちろん「マリオ」というユーザーのノスタルジーを刺激する“金看板”があったことも大きいが、「初」というインパクトに加え、売り切れが需要に拍車をかけたような追い風があったからだ。しかしそれは、当のSIEも予測していることで、「プレイステーション クラシック」を数量限定にしているのは、品不足にせず、なおかつ在庫を余らせたくないという複雑な判断なのだろう。

 復刻ゲーム機には、新作ゲームを望む熱心なゲームファンからは批判的な意見も少なくない。だが高性能のPS4やPC、携帯ゲーム機にもなるニンテンドースイッチ、手軽に遊べるスマホゲーム、レトロなゲームが遊べる復刻ゲーム機と、ゲームの遊び方は多彩になっていることに気付かされる。復刻ゲーム機が受け入れられているのは、ゲームの歴史がそこまでの深さを持つようになったこととともに、多様性の証しとも言えそうだ。

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