黒木華、人と比べて悩んだ20代前半 舞台で試練乗り越える

 茶道教室に通った日々をつづった森下典子のエッセイに基づく映画『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)で主演を務めた黒木華が、20代から40代までを演じたヒロインに自身の女優人生を重ね、振り返った。大学時代には女優を目指し、映画学科の俳優コースに籍を置いていたが「ほかの子たちは先輩たちから映画の撮影に呼ばれるのに自分は呼ばれることはなくて、『映画向きの顔じゃないのかな』と悩むこともあった」という。

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本作で黒木が演じたのは、真面目で理屈っぽくておっちょこちょいの典子。20歳の彼女が、母親に勧められてお茶を習うことに。就職での挫折や失恋、大切な人との別れなどさまざまな出来事を経験しながら、お茶を通して人生にとって大切なことに気づいていく。

 20代前半は「わたしも典子のように人と比べて凹んでいたので共感しました」と当時を回想する黒木。就職に漠然とした不安もあった。それでも女優になる夢を諦めなかったのは「舞台があったから」だという。

20歳の時に劇作家・野田秀樹のワークショップに参加し、転機を迎えることとなった。「実は人見知りで、人前に出るのも苦手なんです。でも舞台では、台詞が決まっているので緊張せずにスッと言葉が出てくる。お芝居が好きな人たちが集まる場所なので居心地が良かったですし、何より観劇された方から面白かったと言っていただけることがうれしく、お芝居を続けたいと考えるようになりました」

 2010年、野田が主宰するNODA・MAP番外公演「表に出ろいっ!」で本格的にデビューし、演劇界の期待の新人として注目を浴びた。翌2011年には『東京オアシス』で映画デビュー。『小さいおうち』では第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞。今や映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍し、名実共に日本を代表する女優の一人となった。

だが、本人はあくまでも控えめだ。「いつも迷いながら(演技を)やっているし、何度演じても不安に思います。うまくなりたいとテクニック的なことではなくて、その場に役そのものとしていることが大事なんだと思っているんです。でも、そこにはまだ至っていない。道半ばです」。

 

 そしてこうも続ける。「演技って、正解があるわけではないのですが、わたしとは別の方が演じた方がいいのではと思ってしまう時もあります。だから、安心することがなくて……」と絶えず付きまとう女優ならではの悩みを吐露。

 話題作に次々と出演し、確かな演技で名だたる監督たちから信頼され、観客の心をつかんでいるが、当の本人は自問自答の日々らしい。「典子のように、いつかは女優としての何かに気づきたいと思っています」

 今後も映画『億男』(10月19日公開)、『ビブリア古書堂の事件手帖』(11月1日公開)、『来る』(12月7日公開)が控えるほか、「逃げるは恥だが役に立つ」の野木亜紀子脚本による日本テレビ系連続ドラマ「獣になれない私たち」が10月10日よりスタートする。お芝居の魅力に惹かれ、高みを目指す黒木が年を重ね、経験を重ねる中で、女優としてどんな輝きを放っていくのか。その挑戦はまだ途上だ。

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