Pixel 3を日本に投入したグーグルの「用意周到」“日本的”ケータイ論

グーグルは2018年10月10日、自社開発したスマートフォン「Pixel 3」および「Pixel 3 XL」を発表した。Pixelシリーズは2016年から米国などで販売されてきたが、日本には投入されなかった。なぜグーグルは、3代目に至ってようやくPixelを日本で発売する決断を下したのだろうか。

【関連画像】FeliCa採用のPixel 3/3 XLでは、店舗での支払いに「楽天Edy(エディ)」や「QUICPay(クイックペイ)」などの電子マネーが利用できる。写真は10月10日の新製品記者発表会より

●Pixelシリーズの最新機種がついに日本上陸

かつては自社開発のスマートフォン「Nexus」シリーズを日本市場で販売していたグーグル。だが2016年に発売された、従来のNexusシリーズに代わる新端末「Pixel」シリーズは、日本市場には投入されなかった。

ところが2018年9月、Pixelシリーズの新端末を日本にも投入すると表明して以降、グーグルは、それまでの沈黙がうそだったかのようにプロモーションを積極化。10月10日には、米国で発表されたばかりの最新モデル「Pixel 3」および「Pixel 3 XL」を日本でも披露した。

Pixel 3/3 XLは、それぞれ5.5型と6.3型の有機ELを搭載するスマートフォン。グーグルが自社開発した製品とあって、最新のAndroid OSである「Android 9」がいち早く利用できる点は、Nexusシリーズと同様、特徴の1つとなっている。また、AI(人工知能)、AR(拡張現実)技術がカメラ機能に取り入れられているのも同社の端末らしい点と言えるだろう。

FeliCa採用から見えるグーグルの周到な準備

 グーグルはなぜ、Pixelシリーズの端末を日本市場に投入してこなかったのか、そしてなぜ、ここに至ってPixel 3/3 XLを投入する決断を下したのか。そこには同社の周到な準備があった。

2016年に初代Pixelが発表された際に日本での発売が見送られたのは、当時日本語版が提供されていなかった音声アシスタント「Googleアシスタント」を特徴としていたことが原因とみられている。

その意味でPixel 3/3 XLは、「Googleアシスタント」をはじめとした機能やサービスの日本語対応を進めてきたグーグルが、満を持して日本市場に送り込んだ端末と言える。

それを象徴しているのが、海外版にはないFeliCa(非接触ICカード技術方式)の採用だ。このため日本で販売されるPixel 3/3 XLは、「おサイフケータイ」「Google Pay」による電子決済が可能になっている。

海外ではNFC(ニア・フィールド・コミュニケーション)を用いた電子決済が主流だが、日本では既にFeliCaが広く使われている。日本向けのPixel 3/3 XLであえてFeliCaを採用したのは、グーグル独自の決済サービス「Google Pay」を普及させるためと考えていい。この点からも、グーグルがPixelの日本進出に際して、いかに周到な準備を整えていたことが見て取れる。

日常生活にグーグルのサービスを

 グーグルはPixelシリーズの販売で何を狙っているのか。それは、インターネット上だけでなく、日常生活のさまざまな場面にも同社のサービスを浸透させていくことだ。グーグルには、日本でも既に販売されているスマートスピーカー「Google Home」、さらにPixelシリーズを販売することで、AI技術を活用した自社のサービスを広めようとしているわけだ。その意味では、ハードウエアとサービスをセットで提供する、アップルに近い戦略と言えるだろう。

もっとも、こうした戦略がうまくいくとは限らない。Pixel 3/3 XLはグーグルの直販だけでなく、NTTドコモとソフトバンクからも販売されるので販路の面では申し分ないが、Pixelシリーズがユーザーに選んでもらえるかどうかは別の話だ。

そもそもPixelシリーズは、iPhoneや、サムスン電子のGalaxyシリーズほど明確なブランドを確立できていない。また日本においては、長らくグーグルの端末が発売されなかったことからブランドの浸透には時間がかかると筆者は見る。グーグルには、Pixelシリーズのブランド力を高める戦略が求められることになりそうだ。

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